カレンダー撮影記:ボツワナ 第10話
第10話:秩序と混沌がボツワナの時計を動かしている。
モレミ野生動物保護区での2日目。シマウマが恍惚の表情で大地を転がっている。虫除けのための砂浴びだ。ボツワナにはツエツエバエが多く、砂浴びの習慣は欠かせない。最近、シマウマの縞模様には虫を避ける効果があるのではないか、という学説もでたようだ。
シマウマは草を求めるのと同時に繁殖の機会を増やすために、かなりの距離の季節移動を行う。あたらしい土地を訪れる間に出会いのチャンスも生まれるようだ。ふだんの行動の単位は、オス1頭とメス数頭、それに子どもたちで構成される家族だが、季節移動の際にはいくつもの家族がくっついて数千頭にもおよぶ大集団をつくる。
ペリカンが朝の狩りをしている。魚がはねたり、小鳥たちが騒ぎ立てるとそこを目標にして10羽ほどでスーッと近寄っていく。半円形になって魚を追い込んでいったかと思うと、いったん空を見上げ、口を開けてみんなが同じタイミングで水中にダイブする。驚くのは、また、まったく同じタイミングでみんなが水から顔をあげることだ。まるでシンクロナイズドスイミングの鮮やかな演技のようだ。だが残念ながら追い込み漁の名手たちの団結もここまで。一羽がくわえた魚を隣から奪おうとして大騒ぎがはじまる。
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