カレンダー撮影記:ボツワナ 第8話
第8話:ヒトルールを忘れカバルールに従う。
モレミ野生動物保護区の中央には大きな川が流れている。その流域には実に様々な動物が生息している。この日キャンプから出るとすぐにカバの群れに出会った。オス2頭がプレイファイトを楽しんでいる。迫力のある大きな画面で捉えたいので、できる限り低いアングルで狙うことにした。
アフリカでは、カバはバッファローと並んで恐れられている。だが、カバが意味なく人間を攻撃することはない。カバルールを知らずにうっかりそれを破ってしまった場合、カバを怒らせ、危険な状態を招いてしまうのだ。たとえば陸地で草を喰んでいるときにカバと川の間に立ち入ってはいけない。カバは逃げ道を塞がれてしまったと感じ、恐怖からヒトを襲うことになってしまうからだ。ここでは人間のルールは通用しない。
カバには撒き糞と呼ばれるおもしろい習性がある。糞をしながらしっぽをクルクルと回転させ、周囲に撒き散らす。それぞれが自分の糞の匂いで陣地を誇示する。水量が豊富な時期はお互いの陣地を守りながら暮らしているが、水が減ってくるとオス同士で自分のテリトリーをめぐる凄まじい闘いが始まる。カバは口を最大限に開くと2mにも達する。その強力な武器でとことんやり合う。
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