カレンダー撮影記:ボツワナ 第3話
第3話:レッドリーチュエの跳躍に心を奪われ、ベニハチクイの赤にときめく。
レッドリーチュエが跳ねている姿を撮りたかった。この時期、レッドリーチュエは水場を越えておいしい草がある場所へと移動する。周りは茶色に枯れているが、そのせまい陸地には緑鮮やかな新芽が群生している。そこで草を食んだあとは、再び午前中いたところに戻る。その行動パターンを読み、午後帰路で待ち伏せて撮影をした。
レッドリーチュエは車にとても敏感に反応する。ただしそれは、車そのものを恐れているのではない。大抵の場合、車はライオンをはじめとする肉食獣を探している。車が近くにいるということは、肉食獣が近くにいるということだ。そのことを知っているように思う。警戒心を強めるのだ。野生動物の生きる智恵の深さには驚かされる。
ベニハチクイは他の地域だと崖に巣穴を掘っていることが多いが、ここクワンドラグーンでは地面に営巣している。その数は200~300羽。これだけの群れが地面にいるのはいままで見たことがない。しかもこの美しい紅色。繁殖期なのでふだんより色が濃い。アフリカの動物は地味な体色が多いので、この鮮やかさに触発されて撮影意欲がムクムクとわき上がる。
これ以上近づくと警戒されるギリギリの距離まで接近する。普段はチチチチというおだやかな音で会話をしているが、警戒するとそれがキキキキキという高い金属音に変わる。彼らの奥でヌーが草を食んでいて、そのままそこにいてほしくてその様子にも気を配る。動物同士の警戒心の連携はなかなか厄介だ。
ボツワナ編 一覧
野生動物 一覧
- Botswana「アフリカ屈指の野生の楽園 - ボツワナ」
- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」