カレンダー撮影記:ボツワナ 第9話
第9話:それぞれの場所でそれぞれのいのちが精一杯生きている。
低木の林の中にライオンの親子がいた。生後2カ月ほどの子ライオンはお気に入りの木で遊んでいる。小さいうちはこうして群れから離れ、母ライオンとともに過ごす。この間に群れと生きるために必要な社会的ルールをしつけられる。体の成長とともに心もしっかり育つとやがて集団へと戻っていく。
息をひそめ1時間半は待っただろうか。ようやくアフリカレンカクがロータスの葉の上を移動する姿を撮ることができた。葉っぱが沈む前に次の葉っぱへ、タッタッタッと伝い歩きをしていく。そのリズミカルな様子が心地よい。鳥と花の色彩に心を奪われていたそのとき、突然、不穏な空気を感じる。ボートのドライバーがゾウだゾウだと叫ぶ。一瞬の静寂の後、激しいバトルが始まる。縄張りに入り込まれたゾウが怒りを剥き出しにして侵入者を牙で威嚇する。目の前で展開された争いは5分ほどだったが、視界から消えた後もずっと2頭の激しい叫び声が聞こえていた。
狩りに向かうリカオンは美しい。リーダーの合図で一斉に立ち上がり、きちんと一列になって獲物を追跡する。その整然とした隊列が、再びリーダーの合図で瞬時に散らばり、獲物を仕留める。フォーメーションの見事な変化は、よく鍛えられたアスリートのパフォーマンスを見ているようだ。統制がとれているので狩りの成功率も高い。
車を走らせるとボツワナの国鳥ライラックニシブッポウソウがやってきた。おそらく虫が飛び立つのでそれを食べに道まで降りてきたのだろう。
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