カレンダー撮影記:パンタナール 第8話
第8話:大きなピラニアを捕ったぞー。オオカワウソは喜びを素直に表す動物だ。
パンタナールで僕がぜひとも撮影したかった野生動物が、絶滅危惧種でもあるオオカワウソだ。カワウソのなかでは世界最大で、体長2mくらいになるものもいる。岸辺に掘った穴や倒木の下で巣づくりをして子どもを育て、群れで生活している。 彼らはたいへんな大食漢で、ピラニアなどの魚類や甲殻類、ヘビなどを一日に3~4kgも食べる。ふつう動物は手を使わずに食べるが、彼らは手掴みだ。食べっぷりは実に豪快で、バキッバキッと噛み砕く音が聞こえてくる。魚が乏しいときは集団でワニを襲うこともあり、川のオオカミとも呼ばれている。
こう紹介すると、獰猛な印象をもたれるかもしれないが、オオカワウソは、僕が地球上で好きな動物のベスト10に入れたいほど興味深い。彼らを見ていると、喜びを素直に体現しているように思える。僕はそこが好きだ。
彼らはキキキと騒ぎながら、俊敏な泳ぎで魚を追いかける。捉まえると水面から顔を出し、何ともうれしそうな表情をする。大きな魚を捉まえたときには、「おーい、こんなの捕ったぞー」と自慢しているように見える。仲間はそれを羨ましそうに見ている。子どもは「ボクにもちょーだい、ちょーだい」とおねだりをする。
僕がボートに乗って撮影していると、いきなり近くで坊主頭をぬっと出すことがある。自分が出てきたくせに、「こんなところにヒトが!」と驚いたような顔をする。明らかに僕の視線を意識しているはずなのに、目を合わせようとはしない。頭をボリボリとかいているときは、何ともリラックスした気持ちよさそうな顔をしている。
オオカワウソは表情豊かな動物だ。その一瞬一瞬を逃したくないと、僕はシャッターを切り続けた。
パンタナール編 一覧
野生動物 一覧
- Botswana「アフリカ屈指の野生の楽園 - ボツワナ」
- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」