カレンダー撮影記:パンタナール 第6話
第6話:9月に3回目のパンタナール訪問。到着してすぐ、オオアリクイに出会って大興奮。
乾季の9月、僕は三たびパンタナールを訪れた。ブラジルに到着し、ポルト・ジョフレに向けて縦貫道を走っていると、ガイドのMr.ジャガー(僕が名づけたニックネーム)が、アッと何かに気づいた。500mほど離れたところを、摩訶不思議なカタチをした、黒っぽい動物が歩いている。なんと、これまでのパンタナール訪問では見ることができなかったオオアリクイだった。
僕はオオアリクイと出会うのは、人生二度目だ。一度目は、アマゾンの下流域のバナナル島に撮影取材に出かけたときのこと。僕たちが乗っているボートに、川を渡るオオアリクイが近づいてきて、巨大な爪でボートの縁をガシッと掴むと、よじ登ろうとしたのだ。そのときは慌ててガイドが追い払った。全身を見るのは、今回が初めてだ。
オオアリクイは、牧場のフェンスの内を歩いている。僕たちも車から飛び出し、ちょっと失敬して、フェンスを越えて中に入った。オオアリクイは、本当に不思議なカタチをしている。顔は細長く、どちらが頭で、どちらが尻尾かわからない。2頭がくっついているようにも見える。体長は2mほどだが、もっと大きいように感じる。一歩の歩幅がかなり大きく、歩くのがけっこう速い。彼はすぐにブッシュに隠れて見えなくなってしまった。僕は逃げてしまうのではないかと気が気じゃないが、Mr.ジャガーは「逃げないよ、藪に隠れて待とう」と言う。しばらくするとオオアリクイは迂回して、なんと僕たちの5mくらい前に、再び姿を現した。僕は興奮して、正面からの彼を撮影した。
パンタナールでもオオアリクイに出会うのは、滅多にあることではない。到着してすぐに会えたとは、実にラッキーだ。今回の撮影取材もうまくいきそうな予感がする。どんな出会いが待っているだろう。楽しみだ。
パンタナール編 一覧
野生動物 一覧
- Botswana「アフリカ屈指の野生の楽園 - ボツワナ」
- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」