カレンダー撮影記:ガラパゴス 第10話
第10話:エスパニョーラ島:風に乗り、翼を動かすことなく、ガラパゴスアホウドリが飛んでいく。
ガラパゴス諸島の最南端に浮かぶエスパニョーラ島は、最も古くにできた島の一つだ。ここを訪れた目的は、ガラパゴスアホウドリ。エスパニョーラ島は、ガラパゴスアホウドリの唯一の営巣地だ。僕は高さ100mほどある断崖に登った。見上げれば、真っ青な空がどこまでも続き、見下ろせば、白く波立つ海。激しい風が吹きつける。上昇気流に乗って、大きな翼を一直線に伸ばしてアホウドリが飛んでいく。広げた翼は、2m40cmほどあるのではないか。ガラパゴス諸島の鳥類のなかで最大だ。羽ばたきをすることはほとんどない。無駄な動きをしないのだ。風に乗って、気持ちよさそうに飛んでいる。大きな鳥だから、どこを見ているのかわかる。僕は見下ろされているような気分になる。近くに来ると、サーッと風を切る音がする。アホウドリは飛ぶのは上手いが着陸が不器用で、陸での動きもノロノロしているから、“アホウドリ”という名前がつけられたという説もある。海面から吹き上げる風で、僕の顔は潮だらけになった。カメラも潮吹雪でベタベタだ。
ガラパゴス編 一覧
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