カレンダー撮影記:ガラパゴス 第7話
第7話:フェルナンディナ島・イサベラ島:ここでしか出会えないガラパゴスコバネウが、小さな羽を乾かしている。
水平線に夕日が沈み、空がオレンジ色に染まる。船から見るフェルナンディナ島の岩礁はシルエットとなり、2羽の鳥がたたずんでいる。カッショクペリカンとアメリカグンカンドリだ。ペリカンを見ていると、鳥類は爬虫類から繋がっているとつくづく感じる。太古の昔に思いを馳せた。海も生き物も、太古から現在に繋がっている。
丸三日間を船の上で過ごしたフェルナンディナ島での撮影を終え、翌日、お隣の島であるイサベラ島に向かった。4日ぶりに踏みしめる地面。その感触に、僕の足も喜んでいる。イサベラ島はガラパゴス諸島で最も大きな島で、赤道をまたいで南北に長く広がり、5つの活火山が連なっている。まだ若く活きている島で、断崖が取り囲む景観は荒々しい。僕はまず、半世紀ほど前の噴火によって海岸が隆起したというウルビナ湾で撮影を開始した。
岩場でガラパゴスコバネウが、濡れそぼった小さな羽をブルブルっと広げて乾かしている。コバネウはその名前のとおり、羽が小さい。世界の鵜の仲間で、唯一、飛ぶことのできない鵜だ。諸島には天敵がいないため逃げる必要がないことや、海から十分に食べ物を得られることから、飛ぶことをやめて羽が退化したといわれている。退化と言っても、それは彼らにとっては進化なのだ。飛ばなくなって、代わりに発達したのが、脚の筋肉だ。逞しい脚を使って水を蹴って泳ぎ、小魚などを捕食する。固有種であるガラパゴスコバネウが見られるのは、ガラパゴス諸島のなかでも、ここイサベラ島とフェルナンディナ島ぐらいだ。
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