カレンダー撮影記:ガラパゴス 第2話
第2話:サンタクルス島:ガラパゴスといえば、ゾウガメだ。草を食べるときは、顔が生き生きする。
ガラパゴス諸島での最初の撮影地は、サンタクルス島だ。僕は、ガラパゴスゾウガメが多く生息する、内陸高地のハイランド地区へ向かった。クルマを走らせていくと、あたり一帯が緑の草原となる。山を登るにしたがってガスがかかり、蒸し暑く、ときおり細かな雨も降る。木々はうっそうと茂り、枝からは苔に似たサルオガセが垂れ下がっている。緑の合間に、あざやかな黄色の鳥が見える。フィンチの仲間であるイエローワーブラーだ。
ゾウガメが生息するのは、彼らの食料である新鮮な草が豊富な、このような場所だ。草むらをしばらく行くと、水場でゾウガメを見つけた。大きな立派な甲羅を持っている。100歳から120歳ぐらいではないだろうか。顔を正面から捉えようと、ゾウガメの目線にカメラを構えた。迫力を出すために、アングルをもっと低く、もっと低くと構えるうちに、カメラが水に浸かってしまった。慌てて引き上げるが、真水なので問題はない。やがてゾウガメは移動を始めた。森の奥をうかがうかのように、頭をしきりに持ち上げ、のっそりと歩む。そして不意に立ち止まると、口をカッと開けて、草を食べる。こんなに大きく口が開くのかと驚かされる。草を頬張るときの顔は、とても生き生きとしている。やがてまた歩み始めるが、どこか目指す目的地があるのかわからない。カメがじっとしているときに、コースの見当をつけて先回りして待っていると、そこに来ることもあるが、歩いているときに先回りすると、迂回してしまう。
撮影を終えるとホテルに戻り、夕食をとった。ロブスターのココナッツ風味が美味しかった。
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