カレンダー撮影記:ガラパゴス 第6話
第6話:フェルナンディナ島:一日半かけて、西端にある荒涼とした溶岩の島へ。出迎えてくれたのは、ウミイグアナの大集団。
僕はサンタクルス島から船で一日半かけて、ガラパゴス諸島の西端にあるフェルナンディナ島の岬、ケープダグラスにやって来た。この島は一カ所を除いて上陸が禁じられているため、当分は海の上で過ごすことになる。
フェルナンディナ島は主要な島のなかで最も若い島で、溶岩に覆われた荒涼とした光景が広がる。黒々とした溶岩の上を、ウミイグアナの大集団が埋め尽くしている。ペリカンもいるが、お互いに干渉しあう様子はない。鋭いくちばしをもつガラパゴスノスリの姿も見える。ウミイグアナは世界で唯一、海に潜って海藻を主食とするイグアナで、ガラパゴス諸島だけに生息する。海を潜るウミイグアナの姿を捉えたい。僕はこの日のために、冷たい海の中でも堪えられる、厚さ8mmのウェットスーツをわざわざつくった。
変温動物である爬虫類は、体が温まらないと動かない。ウミイグアナは溶岩の上で体温が上がるのを待ち、体が温まると、海藻を食べるために冷たい海に潜る。僕も、潜る。イグアナの顔がこちらを向いた瞬間を撮りたいのだが、なかなか撮れない。顔を合わせるのを嫌がっているのか。そのうち、冷たさで手足の先が痺れてくる。大きな波がくると、イグアナの体がくるくると回る。まかれた体勢が落ち着くと、鋭い爪で岩場にしがみつく。僕も、激しい波で岩場に叩きつけられた。
ガラパゴス編 一覧
野生動物 一覧
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