カレンダー撮影記:タンザニア 第12話
第12話:ンゴロンゴロは、野生動物たちの息づかいまで聞こえる。こんな場所、他にないと僕は思う。
ある日、緑のサバンナを、アフリカゾウがのっしのっしと歩いていた。近くには、たくさんのダチョウもいる。何か気になるのか、耳をすますように広げているが、ダチョウを気にしているのではなさそうだ。僕が撮り始めたとき、ゾウは遠くにいたのだが、そのうち向こうから近寄ってくる。ドスンドスンと足音が響き、地面の震えまで伝わってくる気がする。ついには、僕が撮影している車のすぐ間近までやって来た。ゾウが、喉を鳴らす音が聞こえた。エコーがかかっているような音だ。1mもない距離で眼を見ると、何かを確かめるような、また実にやさしい眼をしていた。
やはり、ンゴロンゴロほど、野生動物との距離が近い場所はない。間近に野生動物たちを見ていると、かえって闖入(ちんにゅう)者である僕たちのほうが、動物から見られている気がした。
タンザニア編 一覧
野生動物 一覧
- Botswana「アフリカ屈指の野生の楽園 - ボツワナ」
- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」