カレンダー撮影記:タンザニア 第5話
第5話:人間が、ライオンを観る。ライオンも、人間を観る。
茶色くなった草むらで、白いお腹を見せて昼寝しているライオンのカップルを見つけた。しばらくすると寝返りをうって立ち上がったので、てっきり交尾するに違いないと思ったのだが、そうではなく子ライオンが母親の元へとやって来たのだった。
サファリ観光の客たちにとって、ライオンはお目当ての動物のひとつだ。ライオンを見ていると、僕は、彼らは人間の動きがわかっているような気がしてならない。観光客が来る時間には波があるのだが、ライオンは人間がいなくなると、動き出すのだ。彼らがチラチラと人間の様子をうかがっているのが、わかるときがある。彼らの棲み家であるンゴロンゴロでは、人間がおじゃまさせていただいているのであり、かえって人間のほうが動物から観られている。
ライオンといえば、ある時、僕らの車の下に、しっぽが6つ並んでいた。この車は動かないと思ったのか、6頭のライオンが日差しをよけ、車の下で昼寝していたのだ。昼寝から目覚めた1頭は、起き上がろうとして頭を車にぶつけていた。
タンザニアには、「果てしなく広がる平原」という意味のセレンゲティ国立公園がある。ここにもライオンが生息するのだが、ンゴロンゴロのライオンは丸顔で、セレンゲティのライオンは面長に感じる。外輪山に囲まれているンゴロンゴロのライオンより、セレンゲティのライオンのほうが、はるか彼方の地平線を見ようとして、顔が長くなったのだろうか。
タンザニア編 一覧
野生動物 一覧
- Botswana「アフリカ屈指の野生の楽園 - ボツワナ」
- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」