カレンダー撮影記:タンザニア 第2話
第2話:20年ぶりに訪れた、ンゴロンゴロ。この巨大なクレーターに、多種多様な野生動物たちが生きているのだ。
ンゴロンゴロ・クレーターは東西19km、南北16km、深さ600mといわれる、世界でも大規模なクレーターだ。その周囲を、標高2,000mを超える外輪山がぐるりと取り囲んでいる。サファリ観光に訪れたヒトの宿泊施設は、この外輪山にあり(もちろん僕の泊まるところも)、クレーターには東と北の2カ所のゲートからしか降りることができない。
初日、僕はまず外輪山からクレーターを見下ろしてみた。20年ぶりに見る光景だ。7月は乾季にあたるため、クレーター内はほとんど茶色だ。おまけに土ぼこりで、景色がボーっとしている。乾季といっても不思議なことに、ンゴロンゴロは水に恵まれている。外輪山のおかげだという。インド洋から湿った空気が吹きつけられ、それが外輪山にぶつかって上昇。上空を覆う厚い雲となって、大量の雨を降らせ、クレーター内に流れ込む。そのため周囲のサバンナが干上がってしまうような乾季も、ここは水が涸れ果てることがない。だから一年中いつの季節も、たくさんの野生動物たちが集まっている。
僕は、太古もこうだったに違いない、という思いで、ジオラマのようなクレーターを眺めた。遠目に、赤い色が見える。赤い布を巻きつけたマサイのヒトたちだ。マサイのヒトたちは外輪山に暮らしているのだが、牧羊犬を連れ、家畜であるウシやヤギに水を飲ませに、クレーター内に降りてくる。家畜の動きはどこかバラバラと不揃いで、野生動物とは違うことが見てとれる。ここにはたくさんの野生動物がいるとはいえ、茶色の世界で茶色の動物たちは見つけにくい。はたして本当に多くの野生動物たちと出会えるのか、ちょっと心配になってきた。
クレーターに降り、ドライバーとともに四輪駆動で走っていく。以前はオフロードできたのだが、いまは走ることができる道が厳しく制限され、道を外れることができない。動物の方から近寄って来てくれることを願うばかりだ。しかし心配には及ばなかった。しばらく走ると、僕らの行く手にサバンナシマウマが見えた。
タンザニア編 一覧
野生動物 一覧
- Botswana「アフリカ屈指の野生の楽園 - ボツワナ」
- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」