カレンダー撮影記:ナミビア 第9話
第9話:ウニアブ川編:絶滅危惧種のハートマンヤマシマウマがいた。
ホアニブ川周辺の大きなアカシアがあるところでは、一頭のキリンを見かけた。木は風のせいか、傾いている。キリンはちょうど木陰になるところに立ち、ムシャムシャと葉っぱを食べている。僕がクルマから降りて近づいて行っても、平然としている。キリンは臆病な動物と言われているが、動じる気配はまるでなかった。僕はホアニブ川から少し南下してウニアブ川の方へ向かった。ウニアブ川もやはり、雨季に数回水が流れるだけで、僕が訪れた7月は水が枯れはて、川床がむきだしになっている。川から離れると、荒涼とした岩石地帯が広がっている。その斜面に、ハートマンヤマシマウマの家族がいた。腰のあたりのシマが太いのが、彼らの特徴だ。彼らは1980年代の干ばつで大量死したうえ、酪農や農業が拡がったことにより、水のある場所へアクセスしづらくなっているとかで、それも脅威となって絶滅危惧種となっている。
平原ではスプリングボックの群れが移動している。彼らは夜明け前は、安全な場所に群れでかたまってじっとしているのだが、気温が高くなると草を求めて移動する。なかには大きくジャンプするものもいるが、同じようにジャンプする動物でも、インパラは前にも跳ぶのに対し、スプリングボックは上へと高く跳躍する。スプリングボックは敏感な動物で、草を食べているところを撮影しようとしても、頭を上げてしまい、草を食べる自然な姿を写真に捉えるのは難しい。ウニアブ川付近の取材を終えた僕は、いよいよ次は、野生動物の種類の多さで知られるエトーシャ国立公園へと向かう。
ナミビア編 一覧
野生動物 一覧
- Botswana「アフリカ屈指の野生の楽園 - ボツワナ」
- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」