カレンダー撮影記:ナミビア 第10話
第10話:エトーシャ国立公園編-1:月が残る夜明け、キリンが水たまりを歩いていた。
7月半ば、僕はナミビア北部にあるエトーシャ国立公園にやって来た。ここは、さまざまな野生動物が生息する、広大な自然保護区だ。エトーシャとは「大きな白い場所」とか「水の乾いた場所」とかを表すといい、広い敷地の3分の1ほどを、白く塩を吹いた湿地が広がっている。これは巨大な塩湖が干からびた跡で、雨季には水がたまることもあるが、1年のほとんどはカラカラの状態だ。なにしろ広いうえに、公園内は動物がいるためクルマの制限速度が決められていて、移動するのに非常に時間がかかる。ここでは1週間ほどの撮影日程なのだが、効率よく取材するため、宿泊するロッジを3カ所に変えることにした。エトーシャ国立公園の撮影初日、僕は夜明けとともに撮影に出発した。この年の雨季は例年になく雨が多かったそうで、湿地帯には大きな水たまりが広がっている。薄明かりの空にはまだ、月がうっすらと残っている。その水たまりをキリンが歩いている。後ろの方にはキリンの子どもがついて来るのだが、水の中を歩くことをためらっているのか、母親との距離が離れていく。僕はクルマを動かしてはキリンを撮影し、またクルマを動かしては撮影しと、何度も繰り返した。キリンは脚が長いからリーチも大きく、けっこうな距離を歩いた。そして水たまりの真ん中あたりまで来ると、水を飲んだ。真ん中の水の方がきれいでおいしいのだろうか。それにしても幻想的な美しい光景だった。
ナミビア編 一覧
野生動物 一覧
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- 「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール)
- Pantanal「生命みなぎる大湿原 - パンタナール」
- Galapagos Islands「絶海に生きる - ガラパゴス諸島」
- Madagascar「原猿の棲む島 - マダガスカル」
- Ngorongoro「いのち育むカルデラ - タンザニア・ンゴロンゴロ」
- The Peninsula and the Island「世界自然遺産 - 知床と屋久島」
- Land of the Brave「気高き者たち - ナミビアの野生」
- Splendor in North America「雄大なる輝き - 北米大陸」