カレンダー撮影記:屋久島 第2話
第2話:屋久島での撮影は、雨との格闘だ。
さあ、屋久島での撮影開始。僕はまず、島の西側の西部林道あたりで、ヤクシカやヤクザルを撮ろうと計画した。西部林道は、沿岸部で唯一、世界自然遺産に指定されている地域。屋久島といっても、すべての地域が世界自然遺産に指定されているわけではなく、指定されているのは島の20%ほどだ。京都大学霊長類研究所の研究員のご協力を得て、屋久島でサルと出会ったときのルールなどを教えてもらった。
予期したことではあるが、やはり雨だ。それも、台風なみの大雨。“屋久島は月のうち三十五日は雨”と言われるほど、降雨量が多いことで知られている。島には九州地方最高峰の宮之浦岳をはじめ、“洋上のアルプス”と呼ばれる1000メートル級の山々がそびえており、海から運ばれてくる湿った風がこれらの山にぶつかり、雨を降らせるのだという。
ツイていないことに、道が土砂崩れでやられ、僕が狙っていた場所に行くことができなくなった。それでも、土砂降りの森の中で、ヤクザルを探した。サルは動くからこそ、その存在を確認できる。こんな土砂降りの雨の中では、サルもじっとして動かず、その姿を見つけるのは難しい。ずぶ濡れになりながら、粘って撮影を続けた。「こんな大雨の中で撮影を続けたのは、岩合光昭さんが初めてだ」と現地のガイドさんにあきれられた。
森の中はとにかく暗く、蒸し暑い。クルマに戻ると、車内にムンムンと汗臭さが充満した。ガイドさんのクルマに消臭スプレーが積んであった理由がわかった。
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