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カレンダー撮影記:マダガスカル 第10話

第10話:せつない鳴き声に導かれて森を進むと、僕の目の高さに、インドリが!

2015年5月、僕は再びマダガスカルを訪れた。今回の目的は、熱帯雨林の撮影取材。インドリの撮影もある。インドリはマダガスカルの固有種であり、キツネザルの仲間。マダガスカルのなかでも東側のペリネ保護区、アンダシベ・マンタディア国立公園あたりの熱帯雨林にしか生息していない。いちばんの特徴は、金管楽器のようなちょっとメランコリックな音色の鳴き声だ。外見はパンダみたいに白黒のツートン模様で、大きさはヒトの子どもぐらい。僕が39年前にマダガスカルを訪れたとき、子どもが行方不明になってインドリになったという昔話を聞いたのだが、今回、この話を現地のガイドにしても、そんな話は知らないと言っていた。


インドリ 野生動物図鑑


インドリ 野生動物図鑑


インドリ 野生動物図鑑

夜が明け始める頃、僕はガイドと一緒に森へ入った。静かだった森に、姿は見えないが、インドリのちょっとせつないような独特な音色の鳴き声が響き渡る。1頭が鳴き始めると、あちこちから鳴き交わしの声が聞こえてくる。さあ、どの声に狙いを定めて進むべきか、ここからが運の分かれ道だ。僕は、下から見上げるアングルではなく、インドリと同じ目線で間近に撮影したかった。声の聞こえる方向に、どこか見通しのいい斜面はないかと、ガイドに尋ねた。森の中を進み、その斜面に立ったとき、ちょうど目の前に、枝でリラックスした様子のインドリがいた。食後でお腹が満たされていたのだろうか。撮りたかったとおりのアングルで撮影でき、僕は大満足だった。


インドリ 野生動物図鑑