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IWAGO

カレンダー撮影記:アメリカ 第2話

第2話:フロリダ・クリスタルリバー編:アメリカマナティーはおだやかな動物だ。ゆったりと人間に近寄ってきたりする。

キーウェストからフロリダ半島に戻り、メキシコ湾側にあるクリスタルリバーにやって来た。アメリカマナティーに会うためだ。僕が訪れたのは1月だが、マナティーは寒がりの動物で、冬になると、温かい水が湧きだすクリスタルリバーに避寒しにやって来るのだ。ボートをチャーターし、川に出る。マナティーはすぐに見つかる。水の中から静かに浮かび上がっては、水面に鼻を出して息継ぎをする。その時、ヒューッという音が聞こえる。僕は水の中に入ってみた。温かな湧き水のあたりに、100頭ぐらいいるだろうか、たくさんのマナティーがおしくらまんじゅうでもしているかのように、大きな体を寄せ合って寝ている。


アメリカマナティー 野生動物図鑑


アメリカマナティー 野生動物図鑑


撮影する岩合光昭


アメリカマナティー 野生動物図鑑


アメリカマナティー 野生動物図鑑

水は濁って見通しがわるく、ふと気づくとマナティーと目前で鉢合わせたりする。僕と目が合うと、マナティーはすーっと視線をそらせる。なんだかネコ的だなと、僕は思った。人間を怯えるような気配はまるでなく、ゴロンと仰向けになってお腹を見せたりもする。マナティーは愛らしかったが、クリスタルとは名ばかりの濁った水で撮影には苦労させられた。水温は15度ぐらいあったが、ボートに上がると寒さに震えた。


アメリカマナティー 野生動物図鑑