「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール) 第9話
第9話:思わず「いい子だねえ」と口に出た。ジャガーも、やはりネコ科だ。
森から岸辺の砂地に現れたのは、メスのジャガーだった。水を飲み、ときどき森のほうを振り返る。振り返った先を見ると、そこには子どものジャガーがいた。子どもが近寄ろうとすると、彼女は「あっちに行け」とでも言うような素振りで子どもを制する。ジャガーの親子は、子別れの季節を迎えていた。
それからメスのジャガーはしばらく砂地を歩いたあと、ゴロンと仰向けに寝転んだ。そして、モデルのように体をくねらせ、こちらに向かってお腹を見せるようなポーズをとった。僕は思わず、「いい子だねぇ!」と口に出していた。ボートの上の僕がカメラを構えていることがわかっていて、僕のためにわざわざ、そんなポーズを見せてくれたような気がした。この時の写真は、僕のパソコンの壁紙になっている。彼女はやがて、森の中へと帰っていった。
ジャガーの撮影は、どれだけ撮っても飽きることがない。あるときは、森の中で、木の枝に身を横たえているメスのジャガーを見かけた。ジャガーが木に登るのは珍しい。なぜ彼女は木に登るのか、それには理由があるという。この木は川の上にせり出しているため、川の様子がよく見える。彼女は以前、この木に登り、ワニを見つけるや、上から飛びかかって一撃のもとに仕留めた経験があるというのだ。彼女だけが木からのハンティングを学習し、こうしていまも登っている。彼女はしばらくして木から降りると、地面に寝転がった。そして彼女もまた、僕のカメラに向かってお腹を見せた。動きを見ているとジャガーもやはりネコ科である。
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