「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール) 第2話
セスナ機から、鳥を空撮。パンタナールはあまりにも広大だった。
水辺がピンク色に染まっていると思ったら、ベニヘラサギの大群だった。きれいなピンクの羽根と、ヘラを思わせるくちばしが特徴だ。白いダイサギもいる。くちばしを水の中に入れて左右に動かしながら、魚や昆虫を捕まえる。雨季はパンタナールのほとんどの土地が水に浸かるため、水鳥たちは広大な地域に点々と散らばっているが、水のひく乾季が始まると、こうして水場にたくさんの鳥たちが集まってくる。ちょうど今頃、5月から6月にかけては、鳥を撮影する絶好のシーズンだ。
僕は空から鳥の撮影を試みることにした。鳥の空撮は、今回のパンタナール取材の大きな目的のひとつだった。夜明けとともに、ポコネからセスナ機で飛び立つ。操縦士はパンタナールではすっかりお世話になっているガイドのMr.ジャガー。水陸空、本当に頼りになる男だ。空から見下ろすパンタナールは、瑞々しい緑のじゅうたんが一面に広がり、命を育む川の本流と支流が、まるで血管のようにうねり、青く流れる。目を凝らして鳥を探すが、思ったほど見つからない。近づくのも難しい。あ、あそこにいる、とその方向に旋回しても、方角がたった1度ずれるだけでファインダーから外れてしまうのだ。それでも何とか鳥の群れに近づくことができ、小さく2回ほど旋回しながら撮影した。3回目に旋回したときには、鳥はもう飛び去ってしまった。鳥の空撮は想像していたより、はるかに大変だった。パンタナールという舞台が広大すぎるのだ。途中、ハート型をした湖があるのを見つけ、動物を撮影した帰りにカメラに収めようと思ったのだが、果たしてどこにあったのか、結局、見つけることができなかった。
Wisdom of the Wild編 一覧
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