「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール) 第6話
第6話:初めての南パンタナール。ミナミコアリクイやアメリカバクに出会った。
ギマラインス高原国立公園での撮影を終えた僕は、北パンタナールからセスナ機に乗り、南パンタナールを訪れた。
森はアクリヤシの実が豊富で、フサオマキザルやアカハナグマ、スミレコンゴウインコやチュウハシ、ズグロハゲコウなど、様々な動物たちの豊かな営みの源になっていた。僕が森を歩いていると、木の上からこちらに向かってけたたましい鳴き声が響いた。ズグロハゲコウだ。「早く、あっちに行けー」とでも言っているように聞こえる。フサオマキザルは、僕を見ても警戒音をたてない。それどころか、もっと見ようと近寄ってくるほどだ。
早朝、森でミナミコアリクイを見つけた。長い舌を使って、シロアリを食べている。最初、僕をちらりと見たものの、我関せずといった様子で食事に集中していた。地面に這いつくばって、食事をとる姿を撮影したのだが、ロッジに帰ると、身体中が痒くて痒くて仕方がない。どうもダニにくわれたようだ。
森を歩いていて、アメリカバクと出会ったのは夕方だった。木の上にいるアカハナグマの家族が落としたアクリヤシの実を食べている。子馬ぐらいの大きさだった。こちらに気づかない様子で食べ続けていたが、しばらくすると満足したのか、ゆっくりと森の奥へ去って行った。僕は余韻を楽しむように、しばらくそこにいた。日が沈んだので森を出ようとしたその時、驚いて息をのんだ。さっきとは違うアメリカバクが、それも2頭、僕とほぼ同じルートで森から出てくる。これには、向こうも驚いていた。
Wisdom of the Wild編 一覧
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